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年末の風物詩

いまや完全に年末の風物詩となった感のあるベートーヴェンの「第9」。今月はどこのオーケストラの公演をみても「第9」一色でありました。

とはいえこの習慣は日本だけのもののようで、たとえばケルン放送響で長らく活躍されていた宮本文昭さんは、在籍中一度も「第9」を演奏する機会がなかったとか(ちなみに長野五輪での演奏が彼にとっての「初体験」だったらしい)。

閑話休題。「第9」の聴きどころはたくさんあるけど、個人的に好きな箇所を挙げるとすれば、第3楽章の中ほど、弦楽器のピッチカートを伴奏にcl×2+fg+hrが四重奏(途中からflが加わる)する部分(楽譜では、83小節目からの16小節間)。
この楽章はご存知のとおり、アダージョ・モルト・エ・カンタービレ(変ロ長調4/4拍子)とアンダンテ・モデラート(ニ長調3/4拍子)の2つの主題からなっていて、それが交互に登場しそのたびに変奏を重ねていく。
上記箇所は、2度目のアンダンテ・モデラートがト長調で奏されたあと。また1つめの主題に戻るのかと思いきや、変ホ長調に転調して(拍子とテンポは元に戻る)、管楽器4本が主題の断片をポリフォニックにやりとりする。森の中を散歩していたら突然霧に身を包まれ、周囲の視界が遮られてしまったような趣。
するとおもむろに角笛が聞こえてきて(hrのアクロバティックなパッセージ)、今度こそ変ロ長調になり、第一ヴァイオリンが翼を広げて飛翔するかのごとくのびのびと主題を歌う――夢とも現実ともつかぬ情景。

ちょっと妄想めいたことを書いてしまったけれど、たしか映画『敬愛なるベートーヴェン』でもベートーヴェンが森の中を歩くシーンに第3楽章(ただし冒頭部分)が使われていたはず。監督のアニエスカ・ホランドも同じようなことを頭に思い描いていたのかも…。

ベートーヴェン:交響曲第9番ベートーヴェン:交響曲第9番
(1999/10/01)
キャラタイ(マリー=ノエル・ド)クローゼ(ミラ)

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アニマ・エテルナ/指揮:ジョス・ファン・インマゼール
第3楽章を目当てにするなら、この演奏がお気に入り。エリック・ヘープリチのクラリネットが美しい。全体的にみても、ピリオド楽器の小編成オケとは思えないほど立派な鳴りっぷりが耳を惹く。ティンパニの気合いの入り方も半端じゃなく、ベーレンライター新版で採用された第2楽章195小節以降のノンディミヌエンドも痛快なまでに実践。ただ、残響多めの録音が好悪を分かつか。

ベートーヴェン:交響曲第9番ベートーヴェン:交響曲第9番
(2002/06/26)
ガーディナー(ジョン・エリオット)モンテヴェルディ合唱団

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オルケストル・レヴォシュリョネル・エ・ロマンティク/指揮:ジョン・エリオット・ガーディナー
テクストや楽器やテンポ等々のオーセンティシティがどうこうではなく、単純に声楽陣(独唱も合唱も)の優秀さゆえに高く評価されるべき演奏。技術的にここまで穴のない水準で聴ける「第9」はそれだけでも貴重。

Beethoven: Symphony No. 9 Beethoven: Symphony No. 9 "Choral"; Schoenberg: Survivor from Warsaw
(2000/06/06)
Sherrill Milnes、

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ボストン交響楽団/指揮:エーリヒ・ラインスドルフ
モダン・オーケストラで聴く「第9」としては、技術的にみて最高レベルの演奏。オーケストレーションの大胆な改変(たとえば第2楽章主部)と「原典主義的」なテンポ設定(終楽章コーダのマエストーソ!)が同居したスタイルは、現在の視点でみれば新鮮でもある。切れ味抜群のスケルツォは今なおこの楽章のベスト演奏(E・ファースのティンパニが凄い)。録音も1969年とは思えないほど優秀。

ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調Op.125「合唱」 [Import]ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調Op.125「合唱」 [Import]
(2006/02/15)
ベルト・ミンチュク

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サンパウロ交響楽団/指揮:ロベルト・ミンチュク
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